2013年1月26日、新文芸坐xアニメスタイル セレクションVOL.35:
「再検証!? 映画クレヨンしんちゃんPART2」に行ってきました。
場所は池袋・新文芸坐。
◇公式:http://www.shin-bungeiza.com/
プログラム:
・トークショー
・ヘンダーランドの大冒険
・暗黒タマタマ大追跡
・予告編大会
・電撃!ブタのヒヅメ大作戦
・トークショー
・ヘンダーランドの大冒険
・暗黒タマタマ大追跡
・予告編大会
・電撃!ブタのヒヅメ大作戦
今回、開始前に開かれたトークショーでは原恵一、本郷みつる、湯浅政明各氏が招待されました。
オールナイト上映とは言え、おそらく完売だったのか空きはほぼ無しの満席状態で、やはり人気は高いようです。
一応、自分は早めに■前売り券を買っていたので良い感じの席に座れました。
こういうのが初めてだったのもあり、やや準備不足で途中寝落ちしかけましたが内容を振り返ってみます。
追記:次回のオールナイトの開催が決定しました。
新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol.41 『はじまりのみち』公開記念
「映画監督・原恵一 “演出するということ”」
ゲスト:原恵一、藤原啓治(!!)、小黒祐一郎
プログラム:オトナ帝国、戦国大合戦、カラフル
http://www.shin-bungeiza.com/topics/1151
+行ってきました。 →■こちらから
場内。制作ノートが一部展示されていました。
帰る頃には大きめのサインボードも展示されていました(詳細はわかりませんでした)。
待合室(というか通路)には、少なめですがソファや喫煙ルームがあり、休憩中も使用できます。
◇オールナイト的なあれこれ
まず腹がへるので先にちゃんと食べておいたほうがいいです。
ちなみに場内の売店では謎のチャーハンを始めお菓子やペットボトルが売っています。
→オールナイトの場合は途中で売店が営業終了となる。
自動販売機のアイスや缶コーヒーあたりはいつでも買えました。
ただ開始直前はかなり混雑するので、買い物とかは早め(事前)に済ませるのが無難です。
◇トークショー
アニメスタイルの小黒氏による司会のゆるい雰囲気で、製作中のことをいろいろと聞けました。
しきりに「こういうの言うとツイートされるんだよな」「あっこれはツイートしていいです」というややギリギリの話もありました。
軽くまとめておきます。
・原氏:ディズニーランドに行ったのはヘンダーランドの取材の時が最初で最後だとか
・電車を運転するサル、ス・ノーマンのセリフ、実名ネタの裏話なんかも
・湯浅氏はなぜか顔が真っ赤
・制作ピーク時は食事の時間すら無く、コンビニの帰りに歩きながらパンを食べていたとか
・本郷氏はノートに大量の制作日誌やメモを書き込んでいる
→まとめて商品にするかも、とのこと。
→「kindleで出そうよ!」の発言に拍手が起こったり。
・4作目のヘンダーランドは本郷&原&湯浅氏の二人がコンテ担当
・5・6作目のコンテは原氏一人が担当
→「一人でやったのはこの2作だけ」とのこと。
・原氏「このとき格闘技が好きだったが、格闘アニメは決めポーズばっかかっこよくてだめだった」と感じて、本格的な格闘シーンを存分に盛り込んだとか
→本郷氏「アニメで関節技を決めてくるのがすごいよね」とお気に入りの様子。
・すでに「クレヨンしんちゃんがすごい」と業界で話題になっていて、各方面から有名スタッフが参加しに来ていたとか
・トイレを我慢するシーンは湯浅節の演出で「このあとぜひ注目してください!」
→ただ、当人の湯浅氏は
・原氏:ヘンダーランドのオカマについて「あのオカマは……出しちゃいけないオカマだったんですよ……」と本郷氏に言ってきたとか
→でも、その次が「オカマの決定盤」になってますよね? と突っ込まれたり。
・本郷氏:取材先のオカマバーに同行した藤原啓治氏(野原ひろし役)が、店の人から「あんた田舎のダビデ像みたいね」と言われていたのが忘れられないらしい
・ブタのヒヅメのオイロケの声が三石琴乃なのはやっぱりミサトさんの影響があるらしい
・原氏:エヴァをすすめられると「ああいうの、いいんで」と言っていたのが、見た後は「エヴァがすごいんですよ!」とハマったとか
・本郷氏:「オイロケが”シンちゃん”って呼ぶのは狙ってた?」「三石さんの声だと思って見ると、もうミサトさんにしか見えない」とギリギリな発言
話は今回の三作から、原恵一氏・初の実写映画「はじまりのみち」に。
・本郷氏:「大島渚ばりにカットー! とか言うの?」
・原氏:「掛け声もなんて言っていいかわからなくてスタッフに聞きました」
→松竹では「よーい・ハイ」ですよと言われてそうしたとか。
・撮影・編集が違うため、「こうなるんだー」と新鮮だったみたい
トークショーの最後には、じゃんけん大会で全員のサイン入り色紙がプレゼントされました。
本郷氏「もらったからには絶対に『はじまりのみち』を見に行ってください」
原氏(勝った人を指さして)「顔は覚えたぞ!」
といった感じで終了。
ショーというか座談会みたいな感じで面白かったです。
このへんもCDとライブの違いで、やはり行かないと体験できない部分ですね。
アニメスタイル的にも今後3回、4回と続けていきたいとのことで 、また数カ月後にオールナイトが開催されるのかなーと期待しておきましょう。
続きです。では各編の感想を。一応重大なネタバレは控えているつもりです。
◇ヘンダーランドの大冒険
「作戦タイム!」→「認める!」
まず、なんの説明も無く始まるオープニングが不気味です。
剣を振るアクション具合やオカマのポージングも力が入っていました。
特に敵から髪の毛のような糸が飛んできたり、空中をすべるように飛んでくるシーンは家で見ていたら巻き戻してもう一回見るところです。
→それができないのも、また劇場視聴の良さでもある。
この時点ですでに、ものの良し悪しが分かる人ならば単なる子供アニメではないと分かるはず(まあそういう人でなければわざわざオールナイトに来ないか)。
中盤から雪だるま(ス・ノーマン)が登場しますが、第一声で「あーカイ・シデンだー!」と変なところでテンションが上がってしまいました。
まあ古川登志夫氏と言えば大御所ですが、ほんの数日前あたりにファーストガンダム@東京MXの再放送が最終回だったのでちょっとシンクロしてました。
キャラ的にも、軽いノリでフレンドリーながら妙な口調のニヒル野郎という感じでハマり役でした。
※認めるよ!
なおゲストキャストとして、エンディング(!)も歌っている雛形あきこさんが出演しています(ある意味かなり重要な役割)。
ここで作画的なことを言うと、全体的にむちゃくちゃ足早なのがすごいです。
今作に限ったことではないのですが、映画・クレヨンしんちゃんのキャラは画面の端から端、手前から奥へと歩いて行く時に異常なスピードで移動することが多いです。
→走るわけでもなく、短い歩幅で早歩きするのが特徴的。
上映時間の尺の関係でもあると思いますが、それにしてもあんなスピードで描き込んで移動させる必要はないはずです。
それをあえてちょこまか移動させるのがテンポの良さだったり、見た目の面白さにも繋がっているのかなと。
見どころもたくさんあり、ジェットコースターや飛行シーンはスピード感のあるカメラワークにヒーロー(?)総出演で見応えがあります。
そして唐突に発生するババ抜き対決では、どうも湯浅演出なのか異常に熱いシーンとなっており、特にひろしファンは必見でしょう。
そんななか一番印象に残ったのは、冒頭でサル電車が走る中、俯瞰で青いバラを手に取るシーンです。
特に何が動くということでもなく、単なる演出なのですがなんか、ざわっとするものがありました。
ああいう「なんだ今の……」という瞬間を見つけるたびにああ本気で作ってるんだなというのが再確認できますね。
といった感じでまだ頭がはっきりしている一本目は以上。
◇暗黒タマタマ大追跡
うわーー! オカマだーーーー!
本作から原氏の監督作品となります。
※ひまわりも映画初登場だよ!
ヘンダーランドが象徴するようにファンタジー系が得意な本郷作品に対し、自分の代からは和風テイストを強く出すようにしたそうです。
→トークショーより。
そのためか、温泉旅館だったり関西弁(京都弁?)の女将さんだったり、濃ゆいオカマバーだったりと泥臭い舞台設定が各所に見られます。
中でも、なぜ!?というほどの長尺で披露される大阪万博テーマ(こんにちは、こんにちは~)が
あと今作はキャラがかなり濃いです。
クマのような体格のオカマはマツコが本人として出演し声も担当(注:してません)……といっても信じてしまいそうなほど。
トークショーでもオカマバーへの取材の話がありましたが、これも一般的なイメージでなく足で稼いだ取材による結果が生々しさを醸し出しているのでしょう。
見逃せないのは「ナカムレたまお」という超ネーミングのキャラです。
→口調も「そのまんま」な喋り方。
殺し合いのような状況のはずが、急いでいるのにしっかり着付けするとか、ひろしが名刺交換している間は絶対に手を出さないという和の礼節が輝いていました。
ついでと言ってはなんですが、原作者の故・臼井儀人氏が本人役(?)で登場します。
→ただし野原一家にぶん殴られる。
さて、個人的に感心したのが銃器の演出です。
まず銃を構えたりすると、いちいちジャコッと重々しいSEが入り、撃った後は地面に当たる排莢音まで入っています。
銃声についても「バキューンビシューン」みたいなデフォルメではなくかなりリアルな音のようでした。
また、セミオート拳銃を撃つと薬莢がイジェクトされ右側から飛んでいく……という動作もギャグシーンの中で描写されています。
もちろん、残弾切れでスライドが固定されバレルが露出している様子もはっきり確認できます。
今でこそ細かい演出も当たり前のように行われているかもしれませんが、これは1997年(約16年前)の作品で、しかも子供向けアニメです。
こういった子供向け作品であろうが適当にやらないというのが、年齢を問わず愛される理由の一つでもあるのかなと。
◇予告編大会
休憩を挟んで、映画各シリーズの予告編が連続上映されました。
→対象は初代から順に十本ほどで、そのまま「ブタのヒヅメ」本編が開始。
さすがに第一作「ハイグレ魔王」の映像は、今見るとだいぶ顔が違っていますね。
→瞳と、目の輪郭線が繋がっているせい?
声に関しても、しんのすけのあの声はテレビ放映から時間をかけて固まってきたものだったというのが今さらながらに感じられます。
アニメの歴史的にも「化けた」という好例でしょう。
◇電撃!ブタのヒヅメ大作戦
見返りが無い→ 「じゃあダメだ!!」(即答)
んー正直、途中で少し寝落ちしてしまいました。
さすがにオールナイト終盤ってことで集中が続きませんでした。
ただ終盤がかなり良かったので改めてもう一回見たいところです。
ともかく今作も原氏監督ということで、冒頭から屋形船にお膳が並ぶ宴会シーンの和な感じです。
ただ、その前後は電子制御された敵基地への潜入、機密強奪、戦自のような武装兵、そして船ごとかっさらう巨大メカが登場したりとえらいことになっており、結局香港に飛んだりします。
登場するのは敵も味方もエージェントのような黒服だったりして、軽口を叩く奴、変人ぽい奴、とキャラが立っていました。
ただ、主役級キャラが離婚しており、息子の親権をめぐるいざこざがあったり……といった点では本郷氏の言う原氏の闇の部分が「良い意味で」出ているのかなと。
※良い意味だよ!(良い意味だよ!)
序盤の見どころとしては、湯浅演出のトイレ我慢のシーンがあります。
ストーリーの流れ的に全カットしようがおそらく問題無いのはヘンダーランドのババ抜きと同様ですが、異常な熱量で便意を我慢する様子は必見です。
→いずれも劇画タッチのような太い輪郭線になるのが特徴的。
やっぱり映像作品って、ストーリーがどうこうもありますが有無を言わさない映像も必要なのだなあとか思ったり。
そして原演出については格闘演出がガチなことも外せません。
トークショーでも語っておられましたが、前作も含めて格闘シーンの分量が多いです。
どれも非常にテンポが早く、顔や表情のアップなどではなくく純粋に人体の動きで勝負しています。
回し蹴り一つ取ってもバーチャのラウみたいな旋風脚を出したり、相手のパンチを受けて、指先だけで手首を極めるといった攻防が非常にハイスピードで展開されるため、単にアクション目当てでも満足できるのではないかと思います。
で、目が覚めるとぶりぶりざえもんが歩いていました。 ※……!
寝落ちでストーリーが飛んでしまいましたが、ヘンダーランドでも存分に発揮されたゲス野郎ぶりと、故・塩沢兼人氏による見た目に反する紳士ヴォイスが堪能できるシーンです。
でも、やっぱり根は良い奴で…………(この後は実際に見て頂ければと)。
ちなみに今作は、このぶりぶりざえもんの活躍もあってか映画シリーズでもトップクラスの名作とする声も少なくないようです。
こんな感じでした。
なんかストーリーより演出のことばっかり書いた気がしますが、見方は自由ってことで。
ついでに、次回の劇場版「バカうまっ! B級グルメサバイバル!!」(4/20公開)のチラシをもらってきました。
(左は臼井氏版の最終掲載号の切り抜き)
やはり徹夜はちょっとキツいものがありましたが得るものは大きかったです。
製作者の生の話を聞けたのも貴重な体験ですが、自宅とイベントは別物で、それぞれに良いところがありますね。
あまり頻繁に行けるものでもありませんが、「これは……!」という回が無いかスケジュールをチェックしておこうと思います。
※また行くよ!!
◆池袋・名画座「新文芸坐」公式サイト
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