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2016年4月6日水曜日

漫画レビュー:昴(スバル)、テンプリズム


 2016年4月の期間限定無料マンガより、狂おしいほどダンスに取り憑かれた少女曽田正人「昴」(スバル)(1~3巻)の感想です。

 追記:「テンプリズム」を追加。

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◇「これで死ぬの生きるの」ってダンスをしたことがあるかい?

漫画レビュー:曽田正人「昴」(スバル)
2016年4月12日までの限定公開)

 そういうダンスには、周囲の方がついてくる! ってことで、無料配信分を読んでみました。
 「熱血」を超えて「狂気」に生きるようなバレエダンサーの物語です。
 三作が一気に無料配信されていたので久々に読んでみましたが、やはり熱いです。
 これまでにも増して「まったく空気を読めないエネルギーの塊」みたいな主人公には強烈な魅力があります。

 青年誌に移って、描写がエロいわけじゃないんだけど、どこか艶めかしくて色っぽい。
 すぐ切れるしすぐ泣く単純な子なんだけど、なぜかあざとく感じない。
 曽田正人先生の作品ってむちゃくちゃ汗臭いけど根底が上品なんですよね。
 これがマンガの誠意ってものかなあとか思います。

 見どころとしては、「すばるちゃん」が見せる喜怒哀楽の激烈さや、それが否応なくもたらす周囲の嫉妬や畏怖……と言いたいところです、が。
 かわいいんですよ、すばるちゃん。

 一歩間違えば劇画になりかねないほど「濃ゆい」絵柄なのに、単純に女の子の描き方として間違いなくむちゃくちゃかわいいです(闇堕ち気味な顔もまた良い)。
 べつに冗談などではまったくなく、プロの作品としてとても大事なことだと思います。
 これって、いち漫画家として死ぬほど苦労してこのキャラに行き着いたんだろうなーと思います。
 →まんゆうきの娘々とか、◆ディザインズのクーベルチュールのような印象。

 これがまた最新作の絵柄は別人のように激変したりしていて……。

「凄まじい漫画家だろう? こんな漫画家、他にはない!!」

 なんつって、言い回しをマネしたくなったりする印象的なセリフも魅力なので、コマの1つ1つ、言葉の1つ1つまで噛みしめて読んでみてください。


◆昴(ビッグコミックス)

The Tenth Prism

◇ヒロインの顔芸に自信ニキ

漫画レビュー:曽田正人「テンプリズム」
2016年4月12日までの限定公開)

 ↑のや、少し前にも配信されていた◆め組の大吾なんかもあって気になっていた曽田正人・最新作です。
 いま現在ネット上で無料連載中なのですが、途中から読むのはなーとか思ってて見ずにいましたが、今回4巻まで無料配信されていたのは有りがたかったです。
 なお「テンプリズム」公式サイトはこちら。
  →http://csbs.shogakukan.co.jp/serial/?id=tenth-prism

 まず、パッと見て明らかに過去作と絵柄が違うのもあって、正直第一印象は良くありませんでした。
 おそらくそれだけで去っていった旧来のファンも多かったことでしょう。
 実際に読み始めてどうだったかと言うと……これも1~2巻くらいまではう、うーんという感じでした。

 やはりめ組、シャカリキ、昴のいずれも第一話のインパクト熱血オーラがすごかったので、そういったものを求めるとまずガッカリするという面は「ある」と思います。
 加えて、本作では主人公「ツナシ」やさぐれ気味なキャラなのも過去作と大きくトーンが違うところです。


 そんな本作が本性を見せ始めるのは3巻からでした。
 ライバル的なヒロインの「ニキ・メノン」というキャラが居て、初登場からして結構なクズっぷりを見せるのですが、こいつが場面ごとにコロコロ表情が変わってきます。
 当初は「あー冷酷でプライド高いアサシンかー」と思ったら、次に出てきた時はほほえみ少女みたいになったりしていたのは良い意味で「あれっ?」と思いました。
 このあたりで「あ、なんか外れてました」とか言うシーンはすげえ良いカオしてます。

 その後もハムッ! ハフハフッ! と凄い勢いでガツ食いしたり、作者もお気に入りだと言うキレ芸も披露したりと、とにかく感情表現のストレート具合は見ていて実に心地いいです。
 で、このあたりは◆公式サイト特別編集版「ニキ編」(1~3巻からの98ページ)にて無料配信されています。
 先に読むのもどうかなーという気がしないでもありませんが、それで「テンプリズム」を敬遠したままになるのはもったいないので気になる方は読んでみると良いと思います。
 なお、一緒に提供されているLINEにも使える「スタンプ画像」(※無料)を見ても、やはりニキの顔芸が本作の魅力の一翼を担っていると言えるでしょう。


 そしてストーリー面ですが、ここにも良い意味で予想外なことがありました。
 まず主人公に生来の救世主的な力があるのですが、いくらそれが強力であっても少年マンガ的な爽快感は皆無で、主人公はほとんどの場面で大きすぎる力に振り回されるような描かれ方になっています。
 ようやく力がうまく使えるようになってきた……と思ったら痛いところを付かれて自己嫌悪モードに陥ったりもします。
 あと、敵側のアモウがやたら格好良かったり、敵国「骨の国」で暮らす人々のまっとうさを見ていくと、本作が謎の悪者集団と戦うアクションもの「ではない」のが徐々に分かってきて正直、困惑しました。
  →どこに向かっているんだ? という。

 このあたりは作者あとがきのコメント、

「このまんがは作者初のファンタジー……のフリをして実は作者初の恋愛まんが

 ……というのを見てあーーー非常に納得しました。
 そう言えば公式サイトにも「戦闘的恋愛ファンタジー」とか書いてありますね。
 そんなわけで、これから読む方は剣と魔法のファンタジーではなくこれはアクション要素が強いラブコメだと思っておくとすんなり入っていけるのではないかと思います。
(まあラブ”コメ”ではないかも)


 あと、もう一つ過去作と大きく違うのがデジタル作画であることです。
  →一応「原案が別作者」ってのもある。
 見た感じ、派手な魔法エフェクト敵軍の大部隊のようにこれは手書きだと死ねるだろうなという描写が多々あって良い面が出ていると思います。
 個人的には(デジタルかどうかは関係ないかもしれませんが)35話あたりの骨の国の町並みの描写とか異様に緻密ですごいなと。
 また、タブレットで読んでいる読者としては見開きページの継ぎ目がまったく無いというのも地味にポイントが高いところです。

 ちょっと驚いたのは、すでに全巻フルカラー版があること。
(なぜか公式リンク先の小学館ブックスには通常版しかありませんが)
 そう言えば今回の無料配信のほうも扉絵だけはカラーイラストになっていましたが、全ページがオールカラーというのは根本的に別物なのでわたし興味があります。(えっ)
 やはり元がデジタルだと、こういう展開もしやすいのでしょうね。


 といった感じでだいぶ長くなりましたが、本作についてはオールカラー版を含めて買い進めつつ、またレビューを上げていくつもりです。
  ※曽田正人を信じるよ!
 公式では最新3話まで公開されていますが、まああせらないスタイルで追いかけていこうと思います。

(追記)
 その後、オールカラー版5~7巻まで買いました(感想はまたいつか)。



◆テンプリズム(通常版)  ◆テンプリズム[オールカラー版]


 以上です。ではまた。

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 マンガレビューの過去記事は■「漫画レビュー」ラベル」にて。


谷村新司 ベスト

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