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2016年7月21日木曜日

ボカロ動画#2:MEIKO V3「永級灯途」(Everlasting Beacons)


 自作ボカロ動画・第2作MEIKO V3「永級灯途」(えいきゅうとうど)英題"Everlasting Beacons"を公開しました。
  ※自作ボーカロイドオリジナル曲だよ!
   →ニコニコ動画版は◆こちら。(エコノミー版は◆こっち。
 んーとまあハードルを下げていくスタイルっちゃそうなんですが、この曲は歌詞&映像で今後のネタや方針を暗示するためのものといった感じです。

*前作「Aura Lee: Presage」■こちら。 次:「ドギースタイル」■こちら。
Everlasting Beacons / MEIKO V3



*もくじ(予定)
▼「永級灯途」とは?(この曲の意図)

▼歌詞について@古語、音の省略、押韻など

▼楽曲制作について@楽器構成、インサート、作曲の流れなど

▼映像制作について@影絵の工夫、モノクロ線画表現等(まだ)


*ニコニコ動画版のサムネ詳細


 動画が重い場合は◆エコノミー版もあります。


*ピアプロページ
 http://piapro.jp/t/86m3


*オフボーカル版ガシャポン戦士のストフリ塗装動画にて◆使ってみました。



 今回使用させて頂いたMMD素材はこちら。
・神子のアクセサリーセット
 http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im3707452

・MMD用PMX ダンボール箱  ver.1.1a
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm16327906

・ギターアクセ:Freedom Hydra 足立 you model
 http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im3474752

・歩いたり走ったりスキップしたり ver3.0
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm21263509


◆MEIKO V3(Amazon)

この曲について

 「永級灯途」非常に個人的な作品です。
 まだ自分の頭の中にしかないことをわかりにくく暗示して並べた動画となっています。
 位置づけとしては、◆前作「開場」(開かれたグランドに犬が迷い込んで走り回ってる感じ)で、今作は「選手入場」というところです。

 これはフリであり予告であり自分との約束でもありますが、それらすべてが現実となる日は永遠のように遠く思えるよという内容です。
 
◇「永級灯途」(Everlasting Beacons)とは
 題名「永級灯途」は、「永久凍土」もじり。
 すら生えない土地で不毛な試みをいつまでもやめられずにいるという意味を込めています。
 なお「永級」「灯途」造語なので辞書にはありません。

 曲名としては、「永久」ではなく「永級」としています。
 この「級」系統分類の用法であり、「永級」=「永遠に続く性質の」という意図です。
 このため、英題でもEternal、Forever等ではなく「永続」の意味合いのあるEverlasting(エヴァーラスティング)を使っています。

 両者の違いとして、「永久」や「永遠」は思い出やすでに完結したものにも用いられるのに対し、「永級」(=永続)現在進行系で「続いていく」ことを意味しています。
 ちなみに、(政治的意図はまったくありませんが)いわゆる「A級戦犯」というのはA~Cに分類したうちのA関連という意味であり、「Aランク」みたいなことではないとテレビで知って驚いた……という記憶の影響がだいぶあります。
 ああガンダムでムサイ級だのサラミス級だの言ってたのはそういうことだったんだなあ……とか思ったことでいつか使ってみたい言葉リストとして「~~級」が頭のどこかに残っていたのかなと。


 そして「灯途」「灯りの見える道」のことです。
 無数の灯台や、かがり火標(しるし)にして暗い道をひたすら進んでいくというイメージです。
 先人が残した果てしない数のは目指すべき到達点であり、まったく未知の暗い領域では背中から照らして支えてくれるものともなります。
 その中で新たな標が打ち立てられていくことで、次の誰かより遠くを目指すことができるわけです。

 Beacon(遠くから見える信号灯)が複数形なのはこのため。
 
 「灯」とは誘導灯、道を指し示す光、目標、目印、ガイドです。
 具体的には尊敬する誰かの作品であったり、将来の夢であったり、単にTO DO(やること)リストのことです。
 しかし永級灯途という長い道のりに点在する光は無限ではないが無数に存在し、ある場所に着いたら、次を目指さなければならないというルールがあります。
 どんなに明るく大きく居心地の良い灯台であっても、それはゴールではなくあらゆる光は通過点としてに向かわなければなりません。

 そしてその道は過酷であり、へ向かうまでに力尽きる者、諦めて引き返す者、あるいは灯台を憎んで破壊しようとする者や、立ち往生して行くも戻るもままならない者も出てきます。
 もういくつも通過してきたものの、灯台はそれぞれが何百キロも離れていて、次の目印は星よりかすかな光にしか見えず、これから十、二十と進むつもりだったのにひとつ次にたどりつけるかすらあやしいような足どりになってきて、それでも見えてはいるんだから進んでいればそのうち着くんじゃねーのというあやふやな見切り発車こそが本作の核心です。

 歌詞には「夕方」のイメージとして「入り日」「夕雲」を入れていますが、これは一日の終わりかけに見える光のことで、夜も近いのにいまさら始める無謀なことという意味も込めています。(いい年して、という意味も)
 動画映像では、永級灯途に向かう憧れを一度は封じ込めていたものの、ふと昔、大好きだった何かを思い出したことで禁断の道に足を踏み入れる、という内容となっています。
(だいぶ分かりにくいだろうけど)

 そんなわけで、この曲は信じて進んで行こうぜ☆みたいな花道ではなく、誰にも祝福されない暗い道を黙々と進むというどこか呪われた歌だったりします。
 なぜだか、べつに誰に強制されたわけでもないのに、自分が何かを始めるなら遅かれ早かれそういうことになるんだろうなという予感があります。
 同時に、クソ真面目な人は一歩間違えるとそういう道に踏み込むことになるからな覚悟しとけよというメッセージでもあります。


 で、現実的な「標」たちの例こちら。

 いやあたくさんありますね。
(これはもうだめかもわからんね)

 動画では、この中のいくつかからイメージを切り取って詰め込んだりもしています。
 実際、このリストは生存戦略と言ってもいいくらいに精神的支柱となっているのですが、完☆走する前に現実に追いつかれて進行不能になるのは避けたいところです。
(完走しても終わりではないわけだしね)



◇歌詞の解説
 上線、下線については後述。
子供のころ日常だった直感が
耳の背に根を張り はがれない声が
まぶたの裏で光を曳き走る線が
古い印を指差した

を追われ絡みつかれるような焦燥は
ひび割れたすき間から覗く懐旧は
暗がりがにらぐ片生りに差す入り日は
徴にゆらう胸走り火は

天と地を結う蜘蛛の糸
い痛みが今、指を引いている

彼方に首を見つけたら走ってゆけ
その身に験が宿るまで走ってゆけ
沖つ波の高みを一つ越えたとき
次の標が見つかるだろう

冷めた槌を打つ諸人
の明かす未開の海が呼んでいる

枯れ朽つ内も夕雲詞を帯
違えの緒で弓を引いていく

檻の中で待ちくたびれて やせた恋が
枷を断ち腐り枯れた手でしがみつき
波の果て丹つらう標は光を増す
まるで悪魔がささやくように

(意訳)
子供のころ簡単に思いついたことや、
耳に残って離れない歌や、
目に浮かぶような空想が
あの名前を思い出させる

後ろ髪を引かれるような焦りや、
不意に蘇るなつかしい記憶や、
心の闇を照らすような夕日や、
予感に揺れ動く胸騒ぎは

夢と現実を繋げる頼りない糸
それは血がにじむほど強く、この指を引きつけるのだ

大きな目標に気づいたなら、進んでいきなさい
いつか報われるその時まで、進んでいきなさい
やがて願いが果たされたその時、
あなたは次の願いに気づくだろう

願いを押し殺して生きる人々を
光の先に見える未知の世界が誘っている

閉じかけた人生のなか、最後に見えた光を頼りに
外れた道で命の限りに抗っていく

長いこと押し込めて消えかかっていた夢が
ついに解放され、弱々しくこの身を急き立てる
はるか彼方の偉大な夢はさらに輝きを増す
まるで悪魔がささやくように


*音の省略について:
 本作は、ところどころ1~2文字分、無視するような歌い方になっています。
 これらには音の数を減らしたい(発音を圧縮して、1つでも多く単語を詰め込みたい)という意図があります。
 俳句みたいな感じで、こう、ちょっとでも言葉の密度やオリジナリティが出せればいいかなーと。
 一応、聞き慣れないけど違和感が出過ぎないバランスを心がけつつ、しかしこのくらいだったら大丈夫なんじゃねーのくらいの軽い気持ちで設定しています。

 このあたりについて少し。


 まずこういう下線の箇所では、母音を省略した歌い方にしています。
 例として「赤い痛み」=「あかいいたみ」では、同じ音の「い」を一息にして「あかいたみ」と歌わせています。
 「朽つ内」=「くつうち」であれば、「つ」、「う」はいずれもウ段なので「う」を吸収させて、「クツウチ」「クツーチ」という風にしています。
  → 明確に ク、ツ、ウ、チ と発音していないということ。

 なお「祝詞を帯び」=「のりとをおび」の場合では、「と」に続く「を・お」をまとめて省略して「ノリトービ」と発音させています。
 実際には間にブレスが入っているため「のりーとー……び~た、がーえたー」みたいなやや無茶(だがたぶんギリギリセーフ)な感じになっています。

 あと「差す入り日」=「さすいりび」ですが、これは「さーすぃりび」のような発音にしています。
 感覚的にウ段(うくすつぬ……)って、アイウエオのどれを付けてもあんまり違和感が無い気がするのでまあいいかという程度のノリで調声しました。
  ※適当でいいんだよ!

 ちなみに以下のようなところは対象外なので特に省略表記を付けていません。
・「未開の海」「みっかーぃの」 → ちょっと早口なだけで省略されてはいない
・「指を引いている」の「ゆびをひーている」 → この場合「い」は発音してもしなくても日本語的に普通

 まとめると、下線を付けているのは後方の母音を意図的に省略(または吸収)している箇所という感じです。
(正直、自分でもよく分かっていません)


 続いて こんな感じ のところでは子音を省略しています。
 これは動画内だと 打ち消し線 なんですが、ブラウザだと大分みづらいので上線+文字色やや変更にしています。(とりあえず)

 余談ですが、この影響でSPANとかを二重にすることでHTMLテキストの装飾と文字色を別々に設定できるということを知りました。(プチ感動)

 ただ……今回だと「の祝詞(のりと)」、「違(たが)えた玉の緒(たまのお)」、「に丹(に)つらう」の三箇所だけしか無いし、自分でも特に応用例も思いつかないというのが正直なところです。

 まああんまり厳格な規則とか深く考えてないので、ひょっとしたらあの表記は「永級灯途」でしか使わなかったなあなんてことになる可能性もわりとあります。
 といった感じでハッタリみたいなもんだったわけですが、動画ではそれっぽく表記しておいたのでちょっと工夫した感が出たかなー、と自分ではわりと気に入っています。



 ついでに、サビの二箇所だけですがにごりについて。

・「結う蜘蛛の糸 」(ゆうくものいと)→「ゆうものいと」
・「枯れ朽つ内も」(かれくつうちも)→「かれつうちも」

 こちらも明確なルールは考えていませんが、なんとなーくここは「ユークモ」より「ユーグモ」って発音させたほうがしっくり来るなあとか思って濁点で歌わせています。
 ただデスロウ先生くらいになると「やっぱ俺がいい」「ヤッパ・ボレガ・ビー!」とか歌っちゃうので自分なんかまだまだですね。(?)


*古語について
 最初期の作詞で「天と地(あめとつち)を繋ぐ蜘蛛の糸」というのが浮かんでおり、ここからイメージを広げていきました。
 以下のものは和歌のような時代に用いられた日本の古語なので聞き慣れない単語が多いと思いますが、ほとんどは自分にとっても作詞を通じて初めて知った単語だったりします。
 ただ、初見であってもなんとなく意味が分かる気がするのが古語(というか日本語?)の面白いところですね。

・にらぐ/にらく(焠ぐ、淬ぐ):刀鍛冶などで、焼いた鉄を水に入れて鍛えること。
(某・裏オロチチームに「にらぐだいち」とかありましたね)
・かたなり(片生り)※名詞/形容動詞:幼稚で未熟なさま。
・入り日(いりび、いりひ):沈みかけた太陽。夕日。

・ゆらう/ゆらふ(緩ふ):一つの場所にとどまっている。前進できずにいる、ためらっているとの意味合いもある。
・胸走り火(むねはしりび):胸騒ぎがして落ち着かないさま。何かに思い焦がれる様子の意味も。
・沖つ波(おきつなみ)※連語:沖に立つ波。「高し」「競う」「しく」等にかかる枕詞なので、基本的に単体では使わない。

 歌詞では「沖つ波」「高み」で受けています。(和歌の細かい規則までは考えないスタイル)

・諸人(もろびと):たくさんの人。
・熾(おき):よく燃えて赤くなった炭火。または、燃えたあとの赤い薪(まき)。

 歌詞ではたき火や、たいまつのイメージ。

・祝詞(のりと):神を祭り、祈願する古体の文章。お祝いの言葉を意味する祝詞(しゅくし、しゅうし)とは異なる。
・玉の緒(たまのお):玉(宝石)を貫き通した首飾りや、そのひものこと。短いことのたとえや、の意味も。
・につらう(丹つらふ):赤く照り映える。美しい色をしている様子。



 余談ですが、これらの言葉はいずれも100円で買った中古の古語辞典で見つけたものです。

 ネットが普及した現代においても、情報量、一覧性、素早さ、多様性など辞書については紙媒体のほうが優れている面も多いと言われる所以を身をもって体感した一件でした。


◇歌詞:細かいこと
 今回の制作で最も難航したのが、歌詞でした。
 予定ではサクッと完成するはずが、これでは安っぽい、これでは厨臭い、これでは気取り過ぎとか悩んでしまいなかなか進みませんでした。
 そんな創作って大変ですね、と思いながらこだわったところをいくつか。


*しるし
 やはり深い理由は無く、歌詞に頻出する「しるし」について。

・印:(古い印を指差した)
 象徴、シンボルマークのような意味合い。
 ここでは大切なものを思い出させる何かで、これはいつか描くことになりますが、動画では「紫色」と「ギター」をその象徴としています。
 歌詞で「古い印」としているのは、今では黒歴史のような思い出に成り果てているということです。
 つまり昔はあんなに憧れていたじゃないか、あんなに好きだったじゃないかというむずがゆい自責であり、できれば視界にも入れたくないが忘れることもできないといった存在です。

・徴:(徴にゆらう胸走り火は )
 兆候(兆し)、予感、啓示のような、不確かだけど、「もしかしたら」という淡い期待です。
 歌詞の意味合いは、どうにも無視することができない予感を必死に考えないようにするたびに、本当は今すぐ何かを始めなきゃいけないんじゃねーのかというあせりばかりが募るというようなこと。
 そしてその焦燥こそが、高みに至る細い糸に繋がっているのでは、というのがサビのところです。

・首:(彼方に首を見つけたら走ってゆけ )
 首級、つまり倒すべき敵、なすべきことです。
 自分にとっては◆これのことで、まあなんというか長い戦いになりそうです。

・験:(その身に験が宿るまで走ってゆけ )
 霊験、(神の)ご加護、ご利益のような意味があります。
 現代では「受験」のように、何かの証拠や「お墨付き」のような扱いです。
 「修験者」(験を修める者)という言葉があるように、古くは長い修行の果てに授かるような重みがあったのだろう、ということで歌詞でもそういうニュアンスで使っています。

・標:(次の標が見つかるだろう、丹つらう標は光を増す)
 しるべとも読むように、標識、道標といった旅人のためのガイドのようなもの。
 外れた道を行くにも頼りになるサーチライトがあれば迷わないわけで……つまり自分にとっては、動画にもいくつか仕込んでおいた◆これのことです。
(敵でも味方でもない、というか……)

 もちろん自分で決めたロードマップなどごくわずかで、その向こうには輝かしい先人の遺産目標、指標となっている意味も込めています。
 それが「波の果てに丹つらう標は光を増す」(=遠すぎる鮮やかな夢に、より強く惹きつけられていく)という部分。
 ただ、そんななんてもんは信じるに値するか分かったもんじゃないわけで、人々をに誘う光はまるで誘蛾灯のように危うい悪魔のささやきにも思える、と釘をさしてこの曲は終わります。


*ライミング
 いろいろな意味で実験的な歌詞なわけですが、その一つが韻(いん)踏みです。
 これも歌詞を考える内に、あっここ韻になってる、じゃあこっちも、あっちも、という感じで後付けで考えていったところです。
(一応「しるし」の多用も押韻の範疇かな?)

 結果的には踏んだり踏まなかったりで中途半端ではありますが、奇跡的に上手くハマったところもありました。
 とりあえず箇条書き程度に。

◇音:
・差す入り日 → 胸走り火
・天と地を結う蜘蛛の糸 → 冷めた槌を打つ諸人を → 枯れ朽つ内も夕雲の祝詞を
い痛み → 熾の明か
・赤い痛みが今 → 熾の明かす未開
・指を → 海が → 弓を

◇意味:
・赤い痛みが今、指を引いている
 「赤い痛み」「(運命の)赤い糸」とのダブルミーニング。
 ただし外道の指に結ばれる赤い糸は血の涙で紡がれた呪いであってそんな可愛いもんじゃねえぞ覚悟しとけよってことで、動画では若干グロ目な表現。
 その一度は捨てた黒歴史に対して自ら結びにいく赤い糸こそが「天と地を結う蜘蛛の糸」である……というのが、この曲で言いたいことのすべてだったりする。

 なお「蜘蛛の糸」は、切れやすくとても頼りないが絶体絶命の状況から抜け出す救いの一手のような意味合い。
 寓話では地獄に落ちると天から差し伸べられたりするが◆だいたい切れる。

・暗がりがにらぐ片生りに差す入り日:
 刀鍛冶に用いられる「にらぐ」に対する「片生り」(かたなり)が、未熟さ「刀」のダブルミーニング。
 まだ自分の使える武器が頼りないことを表現している(っていうことにしておいてください)
 陽も落ちかけた頃に偶然差し込んだ光(=入り日)により、鬱屈したエネルギー不意に脚光を浴びるようなイメージ。

・冷めた槌を打つ諸人を
 「冷めた槌を打つ」というのは、秘めた願いを箱に閉じ込めてクギを打ち付けている、つまり本当は夢があるけど追いはしないということです。

 これって動画部分を見ないと伝わらないっつーか見ても伝わらない部分ですが、自分の曲は今のところ例外なく動画とセットであり、同時にブログで長々と解説を書いていくスタイルなのでいいかなと。
(動画を見てなんとなくざわっとしてこの記事を読みにくるかもしれない物好きへのはりきりすぎたボトルメッセージみたいな)

・枯れ朽つ内も夕雲の祝詞を
 「枯れ朽つ」死にかけているということ。
 日が落ちる夕雲と合わせて、いい年して何はりきっちゃってんのという思いやそれでもやるんだよという意志を込めています。
 で、「祝詞」(のりと)は本来古い神をたたえる歌ですが、ここでは自分を祝福してふるい立たせるような何かとして使っています。(祝詞にもたくさん有るからね)
 つまり、夕焼けを見ていたらなぜだかやる気になってしまったよというシーンです。


音源について

 前作(オーラ・リー:プレセイジ)と同じく、MEIKO V3のパッケージに入っていたもののみで制作しました。
 強いて言えば各ソフトウェアのアップデートは随時適用しましたが、外部ソフト、プラグイン等は無料/有料を問わず一切使っていません。
 まだStudio Oneを使いこなす……どころか基本操作を理解していくだけで精一杯といったところです。

 楽曲としては、当初頭の中にあったイメージからだいぶ変わりました。
 完成版でもやや暗く怪しい感じですが、最初にぼんやりと考えていたのはより陰鬱「絶望的な曲」でした。
 しかしコーラスでどうハモるかでいろいろ悩んでいるうち、いつの間にやらかすかな希望が感じられる雰囲気になっていきました。

 たとえば間奏後のサビで少しキーが上がっているのも、本来はそのまま淡々と、静かに歌うはずでした。
 わりと迷った結果アゲていくことにして、結果的に強く宣言するような熱量も出てきたため自分としては満足しています。
 今では完全にこれが本物であると脳が認識しているため、もはや初期のイメージは思い出すことすらできません。
(こういうこともあるんだなって)

◇音源の構成とか
 では制作作業的なことについて。

 製作中はだいぶ年季の入ったPCSD-RAM積んでるレベル)で作業していたため、マシンパワー的にピアプロスタジオで歌わせつつ楽器側を調整して……というのはほぼ無理でした。
 このため、まずボーカル部分を必要な部分のみ作成して出力し、Studio One側に音声ファイルとして読み込ませるようにしていました。

 ただ、コーラス等で複数のシンガーを扱い、かつそれぞれに別のエフェクトを付けたい場合なんかは音声ファイルとして扱う必要が出て来るため、いずれにせよピアプロ側でいったん出力することに慣れておくべきでしょう。
 あと、しばらく変更が無さそうな部分は楽器トラックをレンダリングする(音声ファイルのような状態にする)ことも、低スペックPCに限らず重要かも。

*ボーカル:静かな部分はWHISPER、サビはPOWER、間奏部分はWHISPER + DARK
 特に冒頭/サビの後/最後の部分はどうしてもウィスパーで歌わせたいと思っていて、自分なりにほぼイメージ通りにできただけでもすでにMEIKO V3を買った元は取れたと言っても過言ではありません。
 最初のうちはWHISPERからPOWERに切り替えるタイミングでものすごい違和感が出たりもしましたが、これも調声を続けているうちにまったく気にならないレベルになりました。
(いろいろやってみないと分からないものだ)
 ただ、どうもPOWER、STRAIGHTに比べるとWHISPERDARKたまに滑舌があやしいことがあるため、そのあたりの調声は地味に苦労しました。

 サビの部分はハモりを少しだけ入れました。
 この曲は祝福であり、呪いでもあるのですが、振り返るとどこか危うい、薄ら笑いを向けられているような感じになっていたのも 自分のねじ曲がった性根が見えるようで 収穫の一つとなりました。
 このあたりは、動画を通して「何が言いたいのかよく分からないけどなんか切実っぽい感じ」が少しでも伝われば幸いです。

 あと、間奏のところは、別々のトラックでアーアー言わせています。
 ここは単にハモるのではなく、片方が全~2分、もう片方が四分や符点まじりのように軽くずらしたりしています。
 なんとなく間奏やらギターソロに合わせてアーアー言わせるのが好きだったりします。(お約束というか)


 ちょっと心残りなのが、サビの付近で鳴っているピーゴーピーゴー……という音。
 あれはボーカルに対して適当に設定したインサートなのですが、特に狙ったわけでもないのに寄せては返す絶妙なタイミングで曲を盛り上げてくれました。
 正直あれが無いと曲が成り立たない(かもしれない)というくらい気に入っています。

 しかし、「ボーカルからのエフェクト」であるため、◆ストフリ(ガシャポン戦士)のほうで使ったオフボーカル版ではこのエフェクトがごっそり消える状態になってしまいました。
 その後PCを新調したりStudio Oneがメジャーアップデートされたりするうち、同じ制作ファイルを読み込んでもあちこち全然違う音になるという困った現象に見舞われて、もはや通常版すら再現不能な状態です。
 なんかこう……原音とかセンドとかをうまくやればエフェクト部分のみを抽出するくらいのことはできる……はず……なんですが、ここは知識の浅さが出てしまいました。

 ちなみに、サビ付近のビシュウウウゥゥゥ……というのような音と、サビ終わりのエエエェ~~という声はいずれもStudio Oneのセットに含まれていた音声サンプルなので、こちらはインスト版でも健在です。


*ベース:
 まだまだ地味ですが、前作よりはだいぶ動くようになりました。
 個人的に重要なのは、ベースにもインサートをごちゃごちゃ掛けていること。
(何をどう掛けたのかは語らないスタイル)
 今回は謎の音っぽい(人間の演奏っぽくない)感じも出そうと思い、いろいろいじってみました。

 その最中に偶然見つけたのが、静かな部分でプププ↑プ↑プ↑プ↑……ペポポ↓ポ↓ポ↓ポ↓と聴こえてくる変な音なのですが、これは一つずつ打ち込んでいるのではなくベースから自動生成された効果音です。
 サビでも、イヤホンでよく聞くとペッペッ↓ペッ↓ペ↓ペ↓……ポッポッ↑ポッ↑ポ↑ポ↑……とか鳴ってますが、これもベースラインに反応して鳴っているものです。
 面白いのが、ちょっとでも音色や音程を変えるとこういう鳴り方にはならないことで、自分ですら何も見ずにコレを再現するのはちょっと難しいです。

 ともかく、ボーカルのピーゴーもそうですがエフェクトは繊細なので、面白い組み合わせを見つけたら後でまた使うことも考えてキープしておきたいところです。
 

*ギター:
 今回はミュートギターっぽくしたいと思っていました。
 いろいろやってみた結果、ちょっと音が違うギター2本が同じように弾くような感じになりました。
 個人的には、沖つ波の高み~波の果てに丹つらう~あたりで↓デデデ↓・↑デデデデ↑……と入ってくるギターを思いついた時は生きててよかったと思いました。
(この部分は歌詞もすごく気に入っている)

 まあ基本的には前作と同じで、ベースをコピーしてちょっと厚くしただけといった生真面目な内容です。
 実はサビの部分だけ3本目のギターが乱入しているのですが、これは改めて聴くとバッキングがいまいちだったかなと感じます。
 これ、完成版では前述のピーゴーピーゴー……の音が全体をカバーしているせいか特に気にならないのですが、インスト版だとやはり粗さを感じる部分があります。
(これは今後の課題)


 今回は簡単なギターソロも入れておきました。
 これは制作の終盤まで予定に無かった部分で、せっかくだから入れておこうか程度の気持ちで打ち込んだものです。
 最終的な細かい微調整を除けば2時間くらいでササッと作ったやつなのですが、それにしてはそれなりの形になったかなと思います。

 このあたりは人間に弾けるかとか、ギターで出せる音かとかは気にしないスタイルで作りました。
 方法としては、メジャーやらマイナーやらで適当にスケールを固定してランダムに音を配置していくだけなので特に難しいことはしていません。
 こちらもこうすればいいのかと分かってきたのは良い経験になりました。


*ドラム:
 ロックにありがちなドッ、ドッ、ドッ、ドッ、とかカッ、カッ、カッ、カッ、からフラムとか入れて……という感じですんなりできました。
 だいたい自分の作曲はメインメロディー+ドラムから作り始めるのもあって、「こうしたい」というところに持っていくのもほとんど苦労しませんでした。
 全体的にはスタンダードで、サビ、間奏のみ無茶なツーバスでなんか変態っぽい感じにしてみました。
 最後の最後でシンバルも無くタ、タッで終わるのもかなり気に入っています。(何度も使えないネタである)

 一応補足しておくと、投稿者コメントドラム☆スティックとかリム☆ショットとか言ってるのは、WHISPERで歌っている静かなパートのカンッという音のことです。
 スネアドラムのふちの金属部分をスティックの腹で叩いて乾いた音を出すのがリムショットなんですが、やりすぎるとスティックがすぐ傷んでしまうというネタです。
 まあわりと真面目で深刻な歌なんですが、なんとなくコメントはあれでいい(ああでなければいけない)と思っています。

◇制作の流れ
 今回の経験で、楽曲制作の流れに自分なりの方針ができてきました。
 軽くまとめるとこんな感じです。

»最低限のドラム、ベース、ボーカルの骨組みを作る(この時点で音色にこだわらない)
 ↓
»ボーカルの仮歌を入れる(歌詞はラララーでいい)
 ↓
»全体を通して聴いてみて、曲の構成や長さを調整する
 ↓
»歌詞を設定する(変に聴こえる箇所は治す)
 ↓
»気が済むまで音色、エフェクト、調声、音量バランスをいじる
 ↓
»何百回も聴き直しつつ気になるところを書き出して一つずつ潰していく
 ↓
»映像部分に着手し、作り終えても気になるところが特になければ完成

 ちなみに公開した動画に使用しているバージョンは、内部的にv1#9(最終&最新版)となっています。
 下に囲んで貼ってあるものは、そこに至るまでの製作中のメモ(更新ログ)です。

 自分の場合、製作中は進展があるたびに徐々にバージョンを上げてalpha→Beta→v1として管理しています。
(それぞれのバージョンの出力ファイルは手元に残してあります)
 こんなのもひょっとしたら何かの参考になるかもしれないので残しておきます。
20160612alpha 0.05
 ↓
・出だしのドラム変更
・音量:バスやや下げ、スネアやや上げ
・サビのギター雑なところを調整
・ギターを2本にしてパンを左右に振った
 ↓
Alpha Final
 ↓
◇歌詞最終調整
・「衝動」が「しょうぞう」に聞こえる→「懐旧」に
・ゆらう
※「揺れる」に近いが、控える、ためらう、滞る等の意味
・夕雲を祝詞として → 夕雲の祝詞を帯び
・たまのお あたりの順序、「したがえた」→びたがえた
・終メロ:燃える→につらう

★ボーカル入りAlphaもほしい

 ↓
Beta01
・バスやや上げ
・ドラム全体をヒューマナイズ処理
 →リムが分かりやすくなった?
・ライドもっと右に
・ギター音量を抑え目に
・ベースにイコライザ処理エフェクト上げ
 →そのままだとボーカルに干渉していた。
・間奏後半のライドが変だったのを調整
・メロのドパッ☆(ドラム)にメロ帯も合わせる
・コーラスをやや左にパン+インサートでコーラス

・イントロ序盤はバス無くていいかも
 →バス無しだと思った以上にスカスカになるので却下
・間奏にコーラス/フェーザー追加

20160620 Beta02

・リムやや強く
・間奏ラスト甘い
・胸走り火「は」の発音が変になってたので戻した(ブレス音程)
・前サビ、全体的に長く&強く
・サビをより感情的に
・ボーカル/コーラスのバランス調整
・Whisperにもコーラスインサート

20160620 Beta02

・間奏コーラス最後ちょっと上げる
・間奏でギターを高速ソロっぽく

▲Beta03
・間奏にギターソロ追加
*ソロ部分はオートメーションで強調
・ギターソロでつぶれない程度にコーラス隊を強調
・ドパッ☆(ドラム)のスネアを強調
・ギター2&3、声コーラスを左にパン
・Whisperを強く

20160621 v1★

・枯れ朽つ内「も」を強調(Dyn削除)
・メロ「絡みつかれる」で音割れがあったので該当バスを下げてみた
#2

・につらう標「は」があまり聞こえないが、Dyn設定を消してもあまり変わらなかったのでスルー
#3

・ところどころバスが聞こえにくかったのをできる範囲で調整(ギター1との干渉)
・最初の入り方を調整
・間奏の音量をさらにアップ(オートメーションでつまみ操作が無効になってた)
・ギターソロの最後を少し下げて直後と馴染ませた
#4
・ラストでギター1・2がズレていた

#5
・ギター2&コーラスのパンをさらに左へ(L34)
・一部残っていた二重ノートをできるだけ排除

#7
終盤「枯れ朽つ内も」の「も」を強く

#8
・初サビ「天と地を」の「を」のフェード具合が急に聞こえるのを調整、コーラスを微妙に長めに。
※声だけで聴く分にはあまり変わっていないが、合わせるとやや変だった。
・コーラスの「くものいと」、「もろびと」のフェード具合や音量を微調整

▲滑舌@古い印の「る」、つらう標「は」
→音声では問題なく、合わせるとリム等の影響で潰れる模様。諦めた。
#9



 詳しくはまたあとで。(だいぶ放置してますが必ず追記します)

*前作「Aura Lee: Presage」■こちら。 次:「ドギースタイル」■こちら。

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